めも2

通り魔ゾンビ編


「2人とも、こいつとの戦い方を見せてやる。」
というと電斗はゾンビに対して構えた。
走ってくるゾンビは攻撃を仕掛けるが電斗はそれを軽々とよけて蹴りをお見舞いした。
しかし奴には大したダメージはないようだ。
「おい、効いてないぞ。」
いくら電斗が強いといってもこれじゃあキリがない、麗華も同じことを考えているようだ。
「まずは動きを封じる。」
電斗はポケットから取り出した釘に電気をまとわせ敵に投げつける。
「あっ、暴れなくなった!」
麗華の言う通り電気で動きが鈍って釘を抜く力もないようだ。
「ここから特にちゃんと見ておけ・・・。」
なんと電斗は包丁を取り出し電気をまとわせた。
それから力いっぱい振りゾンビの首を切断した。
「なっ!?」
「ちょっと電斗!?」
私たちは足が震えていた。
そりゃそうだ、ゾンビ相手とはいえ目の前で明確に人を殺したんだから。
それも昔からの友達だ・・・。
「手順は覚えたか?
お前たちはナタでやった方がいい。」
「おい!
何があったんだ、前までの電斗はこんな奴じゃなかっただろ!?」
明らかに捕まる前とは違う。
今までは犯人に対しても優しすぎるくらいだったからな。
「そうだよ・・・。
一人で抱え込んじゃ辛いしもっと頼ってよ・・・。」
少しの静寂の後電斗は口を開く。
「わかった、あそこで起きたことを話そう。
そして敵の正体を・・・。」

「起きてからまず最初に目にしたのは謎の男だ。
そしてそいつは俺の両腕につけた手錠を外したんだ。」
「謎の男?
誰なのか分からないってことか?」
「ああ、ナショナルキッドのお面をしていた。」
20世紀少年のサダキヨがつけてたやつか
ナショナルキッド?」
「後で調べてくれ・・・。
どうやら俺は大きな施設に連れていかれたみたいでな。」
電斗は少しめんどくさそうに言った。
なるほど、麗華にようにサブカルに疎い人間ならお面としか言えないし考えたものだ。
「それからそいつは
【手荒な真似をして申し訳ない。
少しの間ここで暮らしてくれれば何も危害は加えない。】
といって立ち去って行った。」
「え、それって自由に出ていけるんじゃないの?」
麗華の言うとおりだ。
強引な手口の割に変なところで優しい。
「俺もそう思ったが見張りの数が多いうえに他にも捕まった人間がいるみたいでな。
力づくというわけにもいかなかった。」
うーん、犯人の目的が見えてこないな。
犯人にとって邪魔ならとっとと殺しそうなものだが・・・。
「監禁する割にはおかしな話で待遇がよかった。
欲しいものは何でもくれたし豪華な食事の後にはミルクティーもついてきた。」
何で監禁されたやつの方がいい思いしてるんだよ。
と言いたかったがここで一つある仮説が生まれた。
「あたし思ったんだけど犯人は電斗の知り合いなんじゃない?
だから理由があって邪魔だったけどそんな風にやさしくしたんだよ!」
麗華の言う通り、それ以外考えられない。
「俺もそう思ってこの中の捜索を始めた。
さあ、詳しい話で生徒会室でしよう。」
電斗の服はボロボロだ、相当つらい目にあったのだろう。
確かに安心できる場所に連れていくのが第一だな。
「わかった、瀬川に電話するから麗華はお茶と食べ物でも買ってきてくれ。」
友達をこんな風にされたんだ。
面倒くさいとか言ってる場合じゃない。
探偵部と生徒会で犯人を見つけ出すんだ。