友人だったA君の話

彼との最初の出会いは幼稚園だった、私と同じくドッジボールを投げるのが苦手な人だった。
なにかと趣味があったので小学校に上がってもそれなりに仲良くしていた。

しかし高学年に上がる前になると少し変わってきた、今まで素直だった彼は教師に反抗的になったのだ。
それから数年して中学生になるとますますひどくなった、人に威嚇する上にポケモンまで奪うようになった。
盗られた人にポケモンを返そうとポケモンバトルを挑み勝つも言い訳して改心しなかった。

それ以降はもう関わらないことにしてポケモンセンターで出会っても距離をとることにした。
奇妙な動きをしていないか彼のブログで他人の不利をして話すふりして情報を集めたしTwitterでも調べたがもう問題はなさそうだった。

そうそう、最後に彼とコンタクトをとったのはもう5年以上も前だ、たしかある友人(N君)の連絡先を知るために友人だった人(K君)とともにA君の家に突撃したのだ。
K君に危害を加えることはできないので私だけが中に入る。

家の前につき恐る恐るチャイムをならすと彼はドアを少し開け嫌そうな顔で隙間から除きこんできた。

「……なに?」

そんな表情で聞いてきた、おそらくこちらも嫌そうな顔になってたと思うが……。

「N君の連絡先を教えてください。」
「知らない……。」

眉ひとつ動かさず返事をされた。
嫌がらせかと思ったがそういう嘘はつかないタイプなので素直に受け止める。

「そうですか、最近会いましたか?」
「いや、会ってない。」

彼らが最後にあったのは私がはっきり覚えてる限りこの3年近く前だ、私はK君とこの場をあとにした。

連絡先に関しては後日簡単な方法でわかったのだがそれはおいておこう。

それ以降彼らしき人物を何度か見かけたことがある。
バスを待っているときにのめり込むように3dsを見つめる男がいた、たぶん彼だ。
バスを降りるときに見られたが何も言われなかった。

後日聞いた話だがN君はリサイクルショップでA君に出会ったが走って逃げられたようだ。

これ以降は何も目撃情報はなく塗装業の仕事に精進しているのだろう。
私も周りの人ももうポケモンをしなくなってしまった。


彼の心は何を抱えているのだろうか……

彼はまだポケモントレーナーなのだろうか……



それは、本人にしかわからない………